僕は、帯方郡を出発する际に、「南」で设定していました。
今、船が日轮や月轮の言う通り、南に向かっているのであれば、船の进行方向と指南车の仙人人形が指し示す方角は一致するはずです。
しかし、実际には、仙人人形は船の进行方向と直角に右を向いています。
つまり、船は南ではなく、东に进んでいることになります。
不弥国まで、このようなことはありませんでした。
一度东に向かってから南に変针するのかと暂く様子を窥いましたが、一日経っても、二日経っても、船が南に変针する様子はありません。
业を煮やした僕は、日轮と月轮を呼んで、真相を确かめることにしました。
「この船は东に向かっているのでは?」
跪いて両手を突く二人に向かって、僕は単刀直入に寻ねました。
二人は、ちらり、と互いに目配せをした后、
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「いいえ」
「间违いなく南に」
と、答えます。
しらばっくれるというのは、予想の範囲内です。
これで误魔化せると思うのは、野蛮国ゆえの浅はかさとでも言いましょうか。
「僕を愚弄するつもりですか?では、これをなんと説明します?」
僕は怒声を発しながら指南车を示し、その机能を説明しました。
恐らく、指南车と言うものすら知らなかったのであろう二人は、微かに惊きの色を浮かべたものの、周章狼狈するような事はありませんでした。
日轮が一层头を垂れ、上目遣いにこちらを见ます。
その瞳に恐れはなく、烂々と辉いているように见えました。
「悌儁様。その件につきましてお话致します。ですが、お人払いをお愿いできますでしょうか」
「どうしてですか?」
「非常に重大なお话だからでございます」
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问う僕に、答えたのは月轮です。
こちらにも、恐怖の色は见えませんでした。
正直に言えば、迷いました。
しかし、相手はたかだか女二人です。
例え相手にこちらを害する意図があったとしても切り抜けられるという自信はありました。
「………。わかりました」
渋々と答え、周囲に控える部下たちに目配せします。
部下たちは一瞬もの言いたげな表情を见せたものの、何も言わずに座を外していきます。
三人だけになったところで、僕は今一度寻ねました。
「この船が向かっているのは东。间违いないですね?」
日轮と月轮は互いに目配せを交わした后、深々と头を垂れました。
「おっしゃる通りにございます」
「僕を骗そうとしたんですか?僕を骗すという事は、恐れ多くも皇帝陛下をも欺き奉る事になると知っての狼藉ですか?」
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