「せやああぁぁっ!」
「し、しまっ……!」
冴华の脚が、すさまじい势いで総太郎の侧头部へとムチのようにしなりながら放たれる!
ガシッ!
「がはぁっ!」
クリーンヒット。ハイキックが完璧に入ってしまった。
どうやら燕撃斧のように上方向に打ち抜く动きに、腰のひねりを组み合わせたハイキックであったようだ。スピード、威力ともに申し分のないものだった。
「や、やったっ!」
冴华が胜利を确信したような、喜悦に満ちた笑顔を浮かべる。それで当然であろう、そのくらい致命的な一撃であった。
「诱いだと见抜けなかったようね! 绫子さんほどに使えないけれど、あたしもわずかな时间なら视力强化ができる。ここ一番であなたの技を见切るために、温存しておいて正解だったわ」
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やはり――と総太郎は思ったが、后の祭りだ。
冴华も死に体であることは间违いなかったであろう。が、それを悟られていることを计算に入れて総太郎を诱い込み、カウンターを决めたのだ。残された力を振り绞るような、秘法の使い方だった。
「あ、ぐ……」
がくがくと総太郎の脚が震える。ハイキックは総太郎の三半规管を揺さぶり、なにより前への踏み込みにカウンターで合わされたのだ、打撃の强烈さは推して知るべしである。さすがに意识が一瞬飞びかけた。
だが――
(た……倒れるわけには、いかないっ!)
これまでの稽古、そして胜负の场面がフラッシュバックする。姫乃や优那との胜负、味わった屈辱、そして凉子をはじめ、かつてのライバルたちと竞い合いながら、自分を高めてここまでたどり着いたのだ。
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その积み重ねを、无にするわけにはいかないのだ。その意地が、総太郎の脚をギリギリのところで支える。
「う……おぉっ!」
総太郎は无我梦中で、突きを缲り出す。
「なっ!」
冴华は惊いたように后ずさった。
「い、今ので倒れないの? まさか、すごい手応えだったのに!」
信じられないといったような顔。
冴华の顔に、初めて恐怖の色が见えた。それが総太郎の心を奋い立たせる。
冴华は追撃をしてこなかった。しなかったのではなく、できなかったのであろう。冴华も脚が震えてほとんど动けないでいるのが分かる。
前に出るしかない。総太郎は限界を迎えつつある体を必死に前に运ぶようにして、踏み込む。
(もう、ごちゃごちゃ考えてられない。やれることはひとつだけだ……)
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